持病や既往症がある場合の海外旅行保険の選び方についてご紹介!

持病や既往症がある場合の海外旅行保険の選び方についてご紹介!

海外旅行をする際、「持病や既往症があると海外旅行保険に入れない」と思っている方も多いのではないでしょうか。今回は、主に持病がある方に向けて、「海外旅行保険への加入は難しいのか?」といった疑問にお答えします。
併せて、旅行先での持病の悪化が心配な場合の対応方法についても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

持病と既往症の違いとは?

まずは、「持病」と「既往症」の違いについて整理してみましょう。

【持病】慢性的に症状があり、継続的に医師・医療機関の治療が必要な病気のこと
【既往症】今までにかかったことのある病気のうち、現在は治っている病気のこと

「持病」と「既往症」の最も異なる点は、「その病気が今は治っているかどうか」になります。
持病や既往症がある場合でも海外旅行保険に加入することは可能ですが、既往症と比べると持病のほうが保険に加入するハードルは高くなります。
しかし、加入できる保険が全くないというわけではありません。

持病がある場合の海外旅行保険の加入方法

持病がある場合の海外旅行保険の加入方法と、加入時の注意点をご紹介します。

加入方法

加入方法は、保険代理店の窓口、または保険会社の店舗(対面)やインターネットなどが挙げられます。
保険代理店の窓口や保険会社の店舗での申し込みだと、持病があっても加入可能な場合が多い傾向があります。
一方で、インターネットを使用して申し込む方法では加入できない場合が多いので注意が必要です。
ただし、症状によってはインターネットでも加入できることがあるので、ご自身の症状が保険加入の条件に合っているかを確認すると良いでしょう。

加入の際の注意点

どの加入方法を選んだとしても、海外旅行保険に加入する際は、基本的に持病・既往症の有無を保険会社に告知する必要があります。
加入の手続きをする時に、ご自身の健康状態に関する質問項目に対して事実を回答しましょう。事実と異なる回答をすると、告知義務違反になり、保険金が支払われない場合があります。
また、持病がある方が保険に加入した時、特に気を付けてほしいポイントは、現地で治療を受けた際の医療費が補償対象かどうかという点です。
持病とは関係のない病気やケガであれば補償対象となりますが、関係のある症状の場合は、医療費が補償されないケースが多いので注意が必要です。

旅行先で持病の悪化が心配な場合の対応方法

ここまで、持病がある場合の海外旅行保険の加入方法について解説してきましたが、「加入できたとしても、旅行先で持病が悪化した時の医療費が補償されない場合が多い」という点が気になる方も多いのではないでしょうか。
確かに海外旅行保険の基本補償だけでは補償されない場合が多いですが、オプション(メインの補償に追加付帯できる補償)や海外療養費制度を利用することで、持病に関係する症状であっても、医療費の一部(または全部)を受け取ることができる場合があります。
続いては、旅行先で持病が悪化した際の対応方法として、「応急治療・救援費用」の特約と「海外療養費制度」について解説していきます。

対応方法①海外旅行保険の応急治療・救援費用の特約を利用する

保険商品によっては、オプションとして「応急治療・救援費用」の特約をつけることが可能です。このオプションを付けることで、持病を直接の原因とした、症状の急激な悪化による治療についても補償の対象となります。
この特約は、海外旅行開始前に発病して治療を受けた病気が急激に悪化した場合に治療費を補償する「応急治療」と、入院した場合に親族が日本から現地に来るために必要な費用が対象の「救援費用」の2つを組み合わせた特約となっています。
ただし、症状が急激に悪化し、やむを得ず病院で治療してもらう場合にのみ補償されるケースが多く、持病に関係するすべての治療が補償されるとは限りません。
例えば、あらかじめ治療を目的としている渡航や、常備薬や糖尿病のインスリン注射といった継続的な支出が予想される治療に関しては、保険金が支払われない可能性があるため注意が必要です。

対応方法②海外療養費制度を利用する

海外の医療機関で治療を受けて医療費を支払った際、帰国後に申請することで療養費として支給される「海外療養費制度」があります。
この制度は、海外で受けた治療が日本国内で保険診療として認められている場合に利用可能です。応急治療・救援費用の特約と異なる点としては、薬(本人が独自に購入したものでなく処方されたもの)が療養費の対象となります。

支給金額は?

治療費は一旦全額支払う必要があり、帰国後に申請した後、支給される形となります。支払われる金額は、日本国内で同じ治療を受けた場合の想定の費用を基準に算出した額と、実際に海外で支払った額によって変わってきます。

(1)現地での支払金額が、日本での治療費を基準に算出した額を上回った場合

日本で想定される治療費の額から、日本での治療費を基準に算出した自己負担分を差し引いた額が支給されます。
例)現地での支払金額:15万円 / 日本で想定される治療費:10万円 / 加入している公的医療保険の自己負担:3割負担
⇒海外療養費として7万円支給される(自己負担分は8万円)

現地での支払金額が、日本での治療費を基準に算出した額を上回った場合
(2)現地での支払金額が、日本での治療費を基準に算出した額を下回った場合

現地で支払った額から、現地での治療費を基準に算出した自己負担分を差し引いた額が支給されます。
例)現地での支払金額:8万円 / 日本で想定される治療費:10万円 / 加入している公的医療保険の自己負担:3割負担
⇒海外療養費として5万6千円支給される(自己負担分は2万4千円)

現地での支払金額が、日本での治療費を基準に算出した額を下回った場合

申請に必要なものは?

国民健康保険に加入している場合は市町村のホームページ、健康保険(社会保険)に加入している場合は各組合のホームページで必要なものを確認しましょう。
申請には、現地の医師が記入した「診療内容明細書」と「領収明細書」が必要となります。提出先ごとに指定の書面フォーマットがあるため、不安な場合には事前に各ホームページより印刷して持参するようにしましょう。現地で記入してもらうことができれば、帰国後にわざわざ手間や時間をかけて現地の医師と連絡を取らなくて済むのでおすすめです。

「応急治療・救援費用特約」と「海外療養費制度」は併用可能!

ここまで紹介してきた「応急治療・救援費用」の特約と「海外療養費制度」は併用が可能です。
海外療養費で自己負担となった金額を、海外旅行保険の特約で補う形で活用するのも良いでしょう。

【持病のある方必見】常用の薬を海外に持参する際に注意するポイントは?

ここまで海外旅行保険について解説してきましたが、持病のある方が海外旅行に行く際、他にも注意してほしいポイントがあります。
持病のある方は、普段から薬を飲まれる方も多いと思います。薬を常用している場合、海外旅行での薬の扱い方に注意が必要です。
病院で処方される薬を海外に持参する場合は、かかりつけの医師に「薬剤証明書」を発行してもらうと良いでしょう。渡航先によっては事前の許可申請や持ち込み可能な数量制限があったりするので、事前に確認してみてください。
また、旅行先の慣れない環境ではどんなトラブルがあるかわからないので、予備の薬を持っていくようにしましょう。荷物の紛失に備えて、1つの荷物に入れるのではなく、スーツケースと手荷物でばらけさせて持参するのがおすすめです。

※海外旅行に薬を持ち込むときの注意点などは、以下の記事で解説しています。事前に申請して許可を取得する必要がある薬についても解説しているのでチェックしてみてください。

海外旅行に日本の薬は持参できる?持ち込む際の注意点を紹介

まとめ

持病や既往症がある場合でも、概ね海外旅行保険に加入することは可能です。
人によって症状は様々なので、ご自身の健康状態に合った形で旅行の準備を進めるようにしましょう。
旅行先で持病が悪化する心配があまりないという方でも、持病とは関係のない病気やケガ、事故や盗難といった旅行中のトラブルに備えるためにも、できる限り海外旅行保険に加入することをおすすめします。その上で、旅行先で症状が悪化する可能性があれば、応急治療・救援費用の特約や海外療養費制度を利用することを検討してみてください。

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