海外出張の保険はどうする?
労災保険・海外旅行保険をご紹介

海外出張の保険はどうする?労災保険・海外旅行保険をご紹介

海外出張が決まった時、必ずチェックしておきたいのが、「保険」。国内出張なら、例えケガをしても労災保険や健康保険などを利用できますが、海外出張の場合はどうでしょうか。
ここでは、海外出張前に確認しておくべき保険のポイントをご紹介します。

海外出張でも労災保険が使える

まず知っておいてほしいのが、「海外出張でも労災保険が使える」ということです。たとえ仕事をする場所が海外であっても、国内で仕事をしている場合と同様に、業務・通勤中に負ったケガや病気などは補償対象になります。

労災保険の補償内容

そもそも「労災保険」とは、「仕事上や通勤によるケガや病気に対して、必要な保険給付を行う制度」(※)のことです。
では、労災保険では具体的に何が補償(保険給付)されるのでしょうか?ここでは、労災保険の補償について簡単にご紹介します。
※出典:厚生労働省「労働基準情報:労災補償」

労災保険の補償内容

療養給付 業務・通勤が原因のケガや病気の治療費の補償
休業給付 業務・通勤が原因のケガや病気によって仕事に行けなくなった場合の補償
障害給付 業務・通勤が原因で障害が残った場合、年金又は一時金の補償
介護給付 業務・通勤が原因で介護が必要になった場合、その介護費用に対する補償
遺族給付 業務・通勤が原因で亡くなった方の遺族に対して、年金又は一時金の補償

以上が労災保険の主な補償範囲です。労災保険の重要なポイントは「業務・通勤が原因となったケガや病気」に対する補償ということです。

「海外派遣」の場合は手続き必須

海外で行う業務内容が「海外派遣」に該当する場合、労災保険の加入に「特別加入」の手続きが必要になります。そのため、労災保険を使う場合は、自分の業務内容が「海外出張」なのか「海外派遣」なのかを出張前に確認する必要があります。
「海外出張」の場合はこの手続きは必要ありませんが、下記ケースに当てはまる場合は「海外派遣」扱いとなります。労働基準監督署に「特別加入申請書」を提出しなくてはなりませんので注意してください。

「海外派遣」になるケース

  • ・海外関連会社(現地法人や合弁会社など)へ出向する
  • ・海外支店などに転勤する など

「海外出張中の保険は労災保険だけ」は要注意

これまで見てきた通り、海外出張でも、国内の場合と同様に労災保険の補償を受けることができます。
ただし、労災保険だけでは補償されないものもいくつかあるので、注意が必要です。

プライベートの時間は補償対象外

労災保険では、基本的に「業務時間内」や「通勤時間内」など、あくまで業務中に起こった事故などが補償の対象です。その一方で、業務時間外、つまりプライベートの時間は補償対象外となります。
労災保険は、「海外出張中、常に補償してくれる」というわけではありません。出張とはいえ、せっかく海外に来たのだからプライベートの時間には観光でも…と思っても、観光中に事故に遭った場合は労災保険では補償されません。

携行品も補償対象外

海外出張の場合、泊りがけで行くことがほとんどのため、国内出張などに比べて持っていくもの(=携行品)も多くなります。また、アメリカやヨーロッパなど、長期間の出張であれば、携行品がより増えることでしょう。
しかし、労災保険では、携行品は補償対象外です。仮に業務中に携行品を破損した場合でも、労災保険では補償されませんので注意してください。

海外出張前に会社が海外旅行保険に加入しているか確認しよう

では、労災保険で補償されないもの(プライベートの時間、携行品など)については、どのようにカバーすれば良いのでしょうか?
会社によっては、労災保険で不足するところをカバーするために「海外旅行保険」に加入することもあります。海外旅行保険の場合は、基本的に自宅を出発してから帰宅するまで、プライベートの時間も含めて、常に補償対象となります。また携行品なども補償対象です。

海外旅行保険を法人契約していることも

特に、海外出張が多い会社の場合、会社が海外旅行保険を「法人契約」していることがあります。法人契約の場合、自分で海外旅行保険を探して加入する必要はありません。
ただし、どんな補償内容(何が補償されるのか、いくら補償されるのか、など)で契約しているのかは会社によって異なりますので、出張前に必ず確認しましょう。

死亡保険金の受取人は要チェック

法人契約など、保険料を会社が負担している場合、死亡保険金の受取人も会社に設定されていることがあります。
この場合、死亡保険金が発生しても、保険会社から直接遺族に支払われるのではなく、保険会社から会社に支払われます。その後、会社から遺族に「弔慰金」等として死亡保険金の一部を支払う流れになります。 海外出張前に、保険金の受取人が誰に設定されているのか、良く確認しておきましょう。

不安な場合は自分で海外旅行保険に加入するのも○

もし会社が海外旅行保険に加入していないなど不安な場合は、ご自身で海外旅行保険に加入してみてはいかがでしょうか。
海外旅行保険は、インターネットや保険代理店の窓口など様々な方法で加入できます。補償内容も、商品によって様々ですので、「保険料が安いものがいい」「補償が手厚いのがいい」など自分に合ったものを探すことができます。複数の商品を比較検討したいなら、「保険比較サイト」で探してみるのもおすすめです。

※海外旅行保険の選び方については、以下の記事で解説しています。いくつかのポイントに分けて具体的に説明しているので、どのように保険を選んだらいいか迷っている場合は参考にしてみてください。

海外旅行保険の選び方!5つのポイントをご紹介

クレジットカード付帯の海外旅行保険の注意点

法人カードなどのクレジットカードに海外旅行保険が付帯している場合、海外出張でも補償されます。クレジットカード付帯の場合は、加入手続きも必要ないので気軽に使うことができますが、いくつか注意点があります。

クレジットカード付帯の海外旅行保険の注意点

渡航先によっては、保険金額が不足することがあります。
特に治療費が高額なアメリカなどへ出張される場合は要注意です。

また、クレジットカードによって、付帯条件が「自動付帯」と「利用付帯」で異なることがあるので、出張前に必ずチェックしてください。

※クレジットカード付帯の海外旅行保険については、以下の記事で解説しています。自動付帯や利用付帯についても解説しているので違いがわからない場合はチェックしてみてください。

海外旅行保険はクレジットカードで十分?知っておくべき注意点とは?

まとめ

ここまで、海外出張前にチェックしておくべき保険のポイントをご紹介してきました。
労災保険は海外出張時でも適用されますが、「業務・通勤が原因のケガや病気」のみ補償対象になる点は注意が必要です。
海外旅行保険であれば、海外出張中はプライベートの時間も補償対象になりますので、会社が加入していない場合などは、ご自身で海外旅行保険に加入してみてはいかがでしょうか。

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